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APDA NEW パンフレット
人口と開発-持続可能な社会の構築を目指して
今日、世界は急激な変化に直面しています。グローバル化の中で各国の相互依存が強まるとともに、エネルギー、食料、人間の安全保障、貧困、環境など地球規模の課題が深刻になっています。世界の人口は依然として増加を続け、2050年には90億人に達し、2100年には100億人を超えるとされています。中でもアフリカの人口は急速な増加を続けており、2011年の10億人から2100年にはその3倍以上の36億人に達すると予測されています。しかしその一方で、先進諸国は急速な少子高齢化に直面しています。このように世界の人口問題は多様性を増しており、両極端ともいえる問題が同時進行しています。こうした人口構造の変化が、私たちの社会にもたらす様々な経済的、社会的課題に対処するために、真剣な取り組みが必要とされています。
背景
人類の平和的な発展を願い、1974年4月、世界で初めての人口・開発問題に取り組む超党派の国会議員グループとして、岸信介、福田赳夫両元首相を中心に「国際人口問題議員懇談会(JPFP)」が設立されました。
この活動から、1981年に中国・北京で「人口と開発に関するアジア国会議員会議(ACPPD)」が開催され、その中で「人口と開発に関するアジア議員フォーラム(AFPPD)」の設立、佐藤隆・衆議院議員の議長就任、およびその活動基盤としての事務局を日本に設立することが議決されました。この議決に基づき、1982年2月1日に財団法人アジア人口・開発協会(APDA)が設立され、理事長に田中龍夫・衆議院議員(元通産大臣)、副理事長に佐藤隆・衆議院議員(元農水大臣)が就任しました。
設立に際し、人口・開発に関する議員活動への支援が、学術的基盤を持ってなされなければならないという考えに基づき、調査研究が主たる事業とされました。APDAはこれまで、議員活動の支援とともに、政府委託調査を中心とする数多くの調査研究を実施し、文部科学省が定める研究所としての指定を受けています。これらの研究成果は、カザフスタンの税制改革にも貢献するなど顕著な成果を挙げてきました。
1993年のAFPPDバンコク事務所の設立に伴い、APDAはAFPPD議長事務所およびその法的基盤としてAFPPDの活動支援を分担してきました。またAPDAが起草の中心的役割を担った1994年の国際人口開発議員会議(ICPPD)宣言文は、国際人口開発会議行動計画(ICPD PoA)の基本理念を定めた「前文」や「原則」に大きく反映され、その後に開催された国際議員会議においても知的な側面で大きな貢献を果たしてきました。現在、世界すべての地域に人口と開発に関する議員フォーラムが存在していますが、これらはすべて日本の働きかけによって設立されたものであり、その活動に主体的にかかわってきたことは私どもの誇りでもあります。
現在、福田康夫・理事長(元内閣総理大臣)のもと国際人口問題議員懇談会(JPFP)事務局としての機能を果たすとともに、自主的な研究を実施し、国会議員の役割に焦点を当てたアジア地域会議の実施および日本-アジア-アフリカを連携するプロジェクトなどを続けています。
なお、2011年4月1日より公益財団法人に移行しています。
活動目的
第2次世界大戦後、わが国は多産多死から少産少死へと移行する人口転換を欧米以外で初めて成し遂げ、「奇跡」と呼ばれました。この日本の経験は、非西欧であるアジアやアフリカでも人口転換が可能であることを示し、途上国の人口プログラムの形成に強い影響を与えました。日本の経験が、世界の人口問題への取り組みの可能性を示したのです。
この地球が有限である以上、人口が増加し続ける中で人類は永続的な繁栄を享受することはできません。したがって持続可能な開発を実現するためには、人口の安定化が不可欠な条件となります。人道的な方法で人口を安定化させるためには、人口転換の過程を通るしかありません。しかし人口転換は必然的に高齢化を引き起こし、社会的負担を増大させます。
現在我が国は世界で最も高齢化の進んだ国となり、少子化問題と相まって、経済的な活力を保ちながらいかにこの問題に対処するか、その対策が喫緊に求められています。これは日本に続いて人口転換を達成したアジアの国々も近い将来直面する課題であり、日本がこの問題にいかに対処するか、世界的に深い関心が寄せられています。
APDAは、人口と開発に関する調査研究および国際協力を通じて、国際的な社会開発と経済発展に寄与し、日本及びアジア、アフリカを中心とする開発途上国等における福祉向上と平和の確立、および持続可能な開発に資することを目的として活動を続けています。
この目的を達成するために、JPFP事務局として世界各国の国会議員組織と密接に連携し、国連人口基金(UNFPA)や国際家族計画連盟(IPPF)等の国際機関の支援、日本政府ならびに関係団体の協力を得て、
①人口と持続可能な開発に関する国内外の国会議員活動の支援活動
②人口と持続可能な開発問題の広報・啓発活動
③調査研究活動
等を実施し、一人ひとりの尊厳を守ることのできる社会を構築するために活動しています。
興四海野春風―2002 20年の歩み―
アジア人口・開発協会
日本財団ホームページより
http://nippon.zaidan.info/seikabutsu/2002/00356/mokuji.htm